医療

医師としての自分

なぜ医師を志したか、そして10年以上経過して何を思うかを記事にしたいと思います。
思春期にクラスに馴染めず虐められたり、ソシャゲーに廃課金したり、依存症になったり、金銭管理もまともに出来ない多くの欠陥を持っていた人間ですが、表向きは一応真面目に医師として働いております。


人間の生死に関わるプレッシャーから押し潰されそうになったり、昼夜問わずに患者さんや御家族と共に病に真剣に向き合う事への疲労感を感じることがあります。ただ、一方で厳しい状態から回復して元気になられた患者さんの姿や御家族の喜ばれる様子を見た時の喜びは、他の何にも代え難い喜びがあります。
日々色んな方々に関わらせて頂く事で、人間としても1人の医師としても成長をさせて頂いております。

◎なぜ医師を志したか


動機付けは色々とありますが、一番大きかったのは父親がクリニックを営んでいた事です。身近で父親が医師として働いている姿を見て馴染みが持てました。殆ど仕事の話をしない父親でしたので仕事の様子までは当時直接は理解出来ませんでした。
医師の仕事を知るきっかけになったのは、虐められて居場所がなかった学校の図書館で休み時間に手塚治虫さんの『ブラックジャック』を読み、憧れました

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そして、こんな自分でも誰かの役に立てるかも知れない、医者になったら周りからも認めて貰えるかも知れないといった思いを持ちました。
中学時代までは平凡な成績でしたが、高校時代から一念発起して医師を目指して勉強を始めました。
最初周りから『ガリ勉キモ』、『勉強出来たらモテるとでも思ってるの笑』等の心無い事を言われ、馬鹿にされていました。勉強頑張ってるだけなのに何で悪く言われるんだろうって悲しく思いました。
段々と成績が上がってくると何となく周囲の反応が変わってきたり、勉強を教えてほしいと言われるようになって認められた気がして嬉しかった記憶があります。

一方で友達と部活やりながらワイワイ楽しく過ごしたり、彼女を作って楽しそうにしている同級生を見て凄く羨ましく感じました。
しかし、自分には勉強しか取り柄がないと思っていたので、縁がない話だと言い聞かせて学校と塾と家の往復をしていました。
そんな地道な努力が実って何とか一浪の末に地方国立大学医学部に合格しました。浪人時代は思い詰めていて医学部に合格できなかったら生きていけない、自殺したほうが良いかなって線路を見て思う事もありました。
勉強が辛かったですし、中高時代全く楽しくない灰色の学園生活だったので少し報われた気がして嬉しかったです。

医学部に入ってからは家族、親族、中高時代の知人、友人からも評価されて世界が明るくなった気持ちになりました。大学に入ってからは虐めもなく、友人と楽しく部活や大学生活を送る事が出来て青春を少し取り戻せた気がしました。
勿論楽しい事ばかりではなかったですが、医学部の勉強が大変ながらも一緒に励まし合う友達が居て何とか留年もせず、国家試験もストレートで合格しました。残念だったのは医学部に入ったら、女性にモテるかなって淡い期待したのですが全くモテてませんでした。初めて女性にも告白してみましたが敢え無く撃沈でした。

◎医師になって10年


国家試験合格後は研修医→内科後期研修医→臓器別専門医として研鑽を積んできました。
最初は日々分からない事だらけ、悩みながら怒られながら毎日を必死に過ごしてきて気が付けば、10年が経っていました。その間に結婚して子供が生まれるといったライフイベントも重なり、今漸くひと段落付いた所です。
未だに診療に悩む事はあるので、勿論まだまだ成長は必要だと感じています。
現在は外来や当直を通常業務として行いつつ、医師経験年数的に指導医的な立ち位置で若い先生の指導も行っています。
一通りの経験を積み専門ライセンス等も取得しましたが、医療報酬等の医療政策も著しく変わっていく中で今後の生き方をどうして行こうか等の悩みは尽きません。まだ模索中です。

年齢や医師の年数によって、物の見え方・捉え方も少しずつ変わっていくのを感じています。医師に成り立ての頃は患者さんの気持ちを十分に理解出来ていなかったり、力不足から不安にさせてしまったり色々と反省点があります。最近は漸く知識や経験値も蓄積されてきて余裕も生まれ、患者さん・御家族の心理状況も理解しながら接することが出来るようになってきました。

最近意識して心がけている事は当たり前の事なのですが、思いやりを持って接する事、不安な気持ちを理解して少しでも不安を和らげられように説明する事、御高齢な方でも理解できるように分かりやすく説明する事、忙しくて疲れていても感情をコントロールして接する事です。
当たり前を当たり前にやるって意外と難しいものです。

大変に感じることも依然として多いですが、医師という仕事を通じて色々な経験や学びを頂いていると思います。これからも少しでも御役に立てるように医師としての力を磨きながら、人間力も付けていきたいと考えています。

今までは日々を生き抜くのに必死でしたが、最近はダイエットをしたり自分のめちゃくちゃな金銭感覚を正そうとしたり、余裕が生まれてきたのだろうなと、記事を書きながら感じてきました。

生きていくって大変だと思います。

最近、自分も病院にかかることがありましたが、患者さん視点で病院に行くと怖いものです。『何を言われるだろうか』『先生や看護師さんは怖くないだろうか』『痛い事されないだろうか』等。
自分が患者側に立つとより鮮明に患者さんの気持ちが見えてきます。
大変な検査や治療を受けつつ、仕事をしながら御金を払って頑張って病院に通っていただいている患者さん達の大変さを思うと、自分も更に頑張らねばと感じます。

以上が、今までの自分の医師としてのストーリーになります。
今回も最後まで記事を見て頂きました皆様方、誠に有難うございました。
今後はもう少し具体的な医療情報を発信して行きたいと考えております。
引き続き宜しくお願いいたします。